■みそのの詩歌賞・各部門賞・候補作
審査員により全107作品のなかから各部門賞・候補作が選出され、3月31日の公開選考会によりみそのの詩歌賞が決定しました。
みそのの詩歌賞3>
他の人とはハグをしないと毎年の桜咲く頃確認がある/ぽよぽよ侍
他の人とはハグをしないと毎年の桜咲く頃確認がある/ぽよぽよ侍
「他の人」とはどんな関係の人か、「ハグ」は軽いものなのか重いものなのか、「確認」の主体はひとりか相互かなどさまざまな読みが公開選考会で展開され、桜の季節のあやうさをひきたてた受賞作です。(尾内甲太郎)
短歌部門
部門賞
桜さくら桜さみしい何度でも会えたおわりにメールが届く/ユノこずえ
さみしいを導き出す桜のリフレイン。メールもきっとそれっきり。あっけない恋のおわりを静かに表現している。(白川ユウコ)
候補作
散る風のなかにひとひらのぼりゆく花びらありてそれはわたしだ/尾内甲太郎
大勢に流されない自らの姿を桜吹雪の中に発見した。上の句のやさしさと下の句の断言が効いている。(白川ユウコ)
候補作
他の人とはハグをしないと毎年の桜咲く頃確認がある/ぽよぽよ侍
長く連れ添った二人には約束事があり、それが危うくなるのが桜の季節なのだろう。春のゆらぎをとらえる。(白川ユウコ)
候補作
初恋は桜吹雪に閉ざされて転校なんて聞いてなかった/麻倉ゆえ
一言も告げずに学校を去った初恋の人。桜の花が咲くたびに、ショックが蘇る、いくつになっても。(白川ユウコ)
俳句部門
部門賞
赤電へ手を振る子らや花盛り/宮田悦自
浜松市ご当地俳句、あるいは亡霊的な子供らと最終電車の景。花の季節は別れの季節でもあるという含意を秘めて表現したのは巧み。(尾内以太)
候補作
たなごころ乳房に与へ花の酔ひ/女郎花
掌を自らの乳房に与える。動悸や乳癌が心配だが、ただ題材として乳房は恋にあたり、花の酔の浮かれようをひきたてる。(尾内以太)
候補作
二番目に会いたい人と花見する/峯村友香里
「二番目に会いたい人」の俳諧味が濃い。季語「花見」も一番目ではかすむけれどこの配置の妙でひきたつ。類想はあるが語関係の落差のつけかたがお上手。(尾内以太)
候補作
思春期のゆらぎうつくしシクラメン/峯村友香里
思春期のゆらぎ、その光と影をシクラメンのありようが表現している。布施明も加味されているだろう。(尾内以太)
自由詩部門
部門賞
「春の顔」 さっちん
蕾から出てこんにちは
新学期を報せてきては
ゆっくりせずにさようなら
ピンク色どこをみても
お仕事中「ピンク色どこみても/お仕事中」一番現実に即しながらも詩を謳えている作品だと思った。(泉由良)
部門賞
「桜吹雪」 青葉夜
桜の花弁はピンクじゃない
白い絵の具を溶かした水に
一滴だけ赤を浮かべたときの色
水たまりに花弁が落ちたとき
それがあまりにきれいだから
ひとは焦がれてしまうのだ
一瞬、風
びゅうっと吹いて、花弁ははらはらと落ちる
うつくしい
水たまりに落ちた瞬間
小さな波紋が広がって
それが絹のドレスのようで
うつくしい桜の花びらの美しさについて心から対峙しようとする語が好ましい。(泉由良)
候補作
「自立と成長」佐藤優衣
最後の1行で、一般的価値観が削がれる、それが楽しい。一種エンタメ。愉悦を感じる。(泉由良)
候補作
「花を買って帰ろう」ayaka
恋を続けるためには私たちは勇敢でならないといけない。それをきちんと表出する詩を評価。(泉由良)
mp3部門
部門賞
どの桜も最初に咲く花はひとつだけ。みそのの詩歌賞の萌芽を感じさせる作品だと思いました。(にゃんし-)
候補作
なし
■みそのの詩歌賞とは?
「みそのの詩歌賞」は、~に美薗中央公園の花見広場(浜松市浜名区西美薗)で開催されるみそののお花見の企画のひとつ。花見をしながら詩歌も味わう企画です。権威や商業のための賞ではなく、詩歌人の交流と詩歌を楽しむための賞です。
1月下旬からまで「花・桜」をテーマにした詩歌をGoogleフォームで募集します。から各部門の審査員が、それぞれの自宅で、投稿された作品(無記名)のなかから部門賞作品と候補作を選びます。
に、美薗中央公園の花見広場へ、各部門の審査員が選んだ部門賞作品と候補作を持ち寄ります。そして、お茶やコーヒーを飲んで花見をしながら、各部門賞作品や候補作をどうして選んだかなどを審査員が話します。最後にそれらの作品(無記名)のなかから、その場に居合わせた方々と話し合い、多数決で「みそのの詩歌賞」を決めます。
みそのの詩歌賞A4チラシ(PDF)■みそのの詩歌賞公開選考会
- 美薗中央公園花見広場
- →Googleカレンダーに追加
【応募締切】
【賞】
みそのの詩歌賞(4部門の部門賞作品・候補作のなかから1点)
短歌部門賞(1点)
俳句部門賞(1点)
自由詩部門賞(1点)
mp3部門賞(1点)
その他、各部門の候補作(数点)があります。
【募集内容】
短歌部門:「花・桜」をテーマにした短歌作品。
俳句部門:「花・桜」をテーマにした俳句作品。
自由詩部門:「花・桜」をテーマにした自由詩作品。500文字以内。
mp3部門:「花・桜」をテーマにした5分以内の音声ファイル、ファイルサイズは10MB以下、拡張子は.mp3のみ。
自作に限る。複数部門へ応募できます。
【応募方法】
Googleフォームから投稿してください。ご応募いただいた方の個人情報は審査や結果通知等のみに使用します。
→【応募資格】
不問
【審査員】
短歌部門
白川ユウコ:コスモス短歌会、COCOON所属。NHK文化センター浜松教室講師。歌集『制服少女三十景』『乙女ノ本懐』。比較芸術学専攻、サブカルチャー濃度高めです。河原で石を拾います。
俳句部門
尾内以太:麦同人。第三十八回「麦」新人賞、第十二回静岡県現代俳句大賞。日本語を拡張させる力を秘めた約17音を、待つ。→以太以外
自由詩部門
泉由良:詩歌と小説などを書く。『目で読む詩誌 Ps & Qs』を機会にひとり出版を、小倉拓也(クロラ)第一詩集『火は綺麗』の発行のため主宰。のち、詩集と小説集などの出版を、執筆に併行しておこなう。著書『すな子へ』など→浮遊区域
mp3部門
にゃんしー:らぶいずぼんば!尼崎、なぞの路上パフォーマー、にゃんしーです。うたったりおどったり、へんなかおをしたりするよ。ひとよんで和製ジャイアン。音楽のことならまかせてね。→にゃんしーウェブサイト
みそのの詩歌賞
※ 4部門の部門賞と候補作のなかから選ぶ「みそのの詩歌賞」は4部門の審査員と尾内甲太郎と「みそののお花見」に居合わせた方々と話し合い、多数決で決めます。
尾内甲太郎:ポエデイ副代表、放大短歌代表、第9回詩歌トライアスロン三詩型鼎立部門受賞。型式を突破しうる詩的発想を期待します。→地方文芸賞をつくる
【結果発表】
に美薗中央公園花見広場で公開選考会が開かれ発表されるほか、4月上旬にこのページに掲載します。のみそののお花見が雨天中止になった場合は、4月上旬に、このページに掲載します。
【著作権の扱い】
著作権は作者にあります。ただし、「みそのの詩歌賞」作品・部門賞作品・候補作はこのページに掲載されます。